プログラムの詳細

グローバルスペシャルセッション 《ものづくり技術》
第3会場 【5B-1】 14:30-
テーマ宇宙からの贈物:宇宙と地上の電磁浮遊
発表者慶應義塾大学 教授
日比谷 孟俊
概要スペースシャトルや宇宙ステーションのような無重力状態では,液体を容器がなくとも取り扱うことが可能になります.液体を容器なして保持すると,融点よりも低い温度になっても固まることがありません.これを過冷却状態と呼びます.空中に浮かせた液体の体積を測定すると,質量が分っていれば密度が測定できます.外部から熱を加え,その応答を調べれば熱伝導率が測定できます.液滴の表面振動を測定すれば表面張力が測定可能です.しかも,これが過冷却状態でも測定できるということは,高温の液体金属を扱う結晶成長,溶接,鋳造などの技術を改良できるだけでなく,通常では実現できない過冷却状態の液体金属の物理という,新しい科学の芽を育てることになります.高温の液体を浮遊して保持する技術に電磁浮遊というのがあります.この技術を宇宙で用いることによって,様々な高温の金属性液体の物性値の測定が可能となってきました.
科学者や技術者たちは,この技術を,宇宙だけではなく,地上でも何とか使ってみようと,様々な努力をしてきました.ここでは,この電磁浮遊法を地上で使いこなすための,静磁場を併用する技術について紹介します.図は,宇宙技術を利用した,地上での高温金属性液体の浮遊の様子です.
概念図
【概念図】